(2021年10月25日)に東プレより発表された、REALFORCEシリーズの新世代モデル『R3キーボード』シリーズ。同シリーズは、メーカーである東プレ側が「世代交代」と称するにふさわしい、非常に特徴の多いモデルとなっています。
静電容量無接点機構を採用した『Topreスイッチ』による独特の、そして深い魅力を備えた打鍵感はそのままに、初のBluetooth/USB共用モデルを用意。さらに現行モデルより浅い0.8mmから設定可能となった“入力高さ可変機構”ことAPC、そしてゲーミングキーボード並に充実した本体オンボードメモリへの設定内容保存を備えるなど、便利かつ使っていて楽しい機能を備えています。
このR3シリーズの製品を先んじて試すことができたので、実際に触れてみて実感した楽しさと便利さを紹介します。
目次
スペック
【外形寸法】:378.7mm(幅)×162.7mm(奥行)×38.8mm(高さ)
【重量】:約1.3kg
【インターフェース】:USB2.0、Bluetooth5.0
【対応電池】:単3形電池×2本(単3形アルカリ乾電池、単3形マンガン乾電池、単3形ニッケル水素電池)
【無線接続時の動作時間】:アルカリ乾電池使用時の目安:約3か月(当社環境でのテスト値であり保証値ではありません。)
【スイッチ仕様:東プレスイッチ(静電容量無接点方式)】
静音スイッチ
キー荷重:All45g/変荷重/All30g
キーストローク:4.0mm
アクチュエーションポイント:4段階で切り替え可能(0.8mm、1.5mm、2.2mm、3.0mm)
スイッチフィーリング:ソフトタクタイルフィーリング
スイッチ寿命:5000万回以上
【システム要件】
Bluetooth接続:Windows 10~、Mac OS 10.15~、iOS 14.0~、iPad OS 14.0~、Android 10.0~
(※Bluetooth接続の場合は、使用する接続機器がBluetooth4.0以降をサポートしている必要がございます。)
USB接続:Windows 10~、Mac OS 10.15~
【パッケージ内容】
キーボード本体、単3形アルカリ乾電池×2本(動作確認用)、USBケーブルType-C ⇔ USB Type-A(約1.8m)、取扱説明書
R3 を購入した理由
まず Realforce を選択する理由は、僕の手・指にとって最も負荷の軽い唯一のキーボードであるためです。
この負荷の軽さは、静電容量無接点方式スイッチ、30gという軽い荷重、静音による上質なキータッチ、スイッチのオン位置を調節できるAPC(アクチュエーションポイントチェンジャー)機能、キースペーサーによって実現されています。
現時点では Realforce 30g 静音 APC しか選択肢がないのです。
今回 R3を購入した理由は2つあります。
第一の理由は「新モデルが出たから」に他なりません。これは単なる物欲(笑)。
第二の理由は「ハイブリッドなら4つのデバイスとワイヤレス接続できるため」です。
これはデスクトップPCとテレワークで使う社用ノートPCにRealforceをUSBケーブルでつなげ変えていたものを無線化して便利に使うためです。
しかし期待していたワイヤレス接続については、実際に使ってみると、ワイヤレスモデルとなると電源オン・オフの概念が発生するため、少し不便であることにいまさらながら気づきました(笑)。
R2の時には、毎日USBケーブルの抜き差しをし、マシンをつなぎ替えていました。抜き差しが多いため、デスクトップPC、ノートPCのどちらのUSB端子も「ちょっと緩くなってきたかも・・」と不安に感じてきていたところです。
R3の導入によって、電源オンや接続先の変更の操作は必要になりましたが、ケーブルの差し直しがなくなり「少しはPC環境がスマートになってきたかな」と実感しているところです。
購入前に気になったのは価格とデザイン
Realforce R3 の購入にあたっては価格とデザインが気になりました。
【価格は適切なのか?】
R2 のオール30g 静音 APC のテンキーレスは約2.5万円で購入しました。
今回の R3 オール30g 静音 APC のテンキーレスは 34,540円で購入。R2では同梱されていたキースペーサー、キープラーは別売になりプラス2,090円。
トータル 36,630円。ワイヤレス対応したとはいえ、実に 1万円以上の価格アップです。
コロナによる在宅ワークの本格化もあり、好調ではあるRealforce事業ですが、東プレとしても確実に稼ぎつづけるための利益率向上(価格アップ、幅広いユーザーの獲得(ハイブリッド化、パネルデザインキット)をねらったことを含む R3 へのモデルチェンジという側面もありそうです。(推測です)
正直、ちょっと高いなぁという思いはありますが、僕にとっては Realforce しかないため仕方がありませんし、実際に使ってみると納得の商品でした。
【デザインはカッコイイのか?】
R3ではデザインもやや丸みを帯び、サイズもアップしています。
今回のRealforce R3のラインナップでは R3HC11、R3HA11(R3のハイブリッド45g静音)は目立たない印字(ダークグレー)になっています。
R2に対して最下段(手前)のスペースキーの長さがR3では短くなっており、周辺のキー配置が一般的なレイアウトに近くなっています。
この部分について、私の場合には特にこだわりはないのですが、歓迎する方も多いようです。
例えば変換キーを押す場合など、僕はキー印字をチラ見した上で押下しているため、あまり位置にこだわりがないこともあり僕にとってはあまりインパクトがありません。
価格とデザインについては気になりましたが、購入してみれば大満足でした。無線接続の便利さに感謝!です。
REALFORCE R3 ハイブリッドの実機をチェック
今回購入した REALFORCE R3 ハイブリッドの実機をチェックしていきましょう。高級感のあるブラックの外箱。シンプル過ぎる印象もあります。側面にはモデルやスペックのわかるステッカーが貼られています。購入したのは ブラック、オール30g、静音、テンキーレス、Bluetoothに対応したハイブリッドタイプの型番R3HC13。
開封した状態。左右に厚めの緩衝材があることからテンキーありのふるキーボードと共通の外箱だと推測されます。気付かなかったのですが、中央下側の段ボール部分に単三電池が入っています。見逃し注意です。セットに含まれる内容は、R3キーボード、USBケーブル、説明書、そして写真には写っていない単三電池です。シンプルな構成。セットにはこの写真に写っていない単三電池二本も含まれる。左上(奥)にはREALFORCEのロゴ。光沢のある部材が使用されています。(個人的にはあまり気に入っていない部分)
右上(奥)にはキーのロック状態やその他のステータスを表す4連のLEDインジケーターと電源スイッチが配置されています。
キートップの印字はやや暗い環境でも見える程度のコントラストを確保。前方側面にはFnキーと組み合わせて押下した際の機能がわかりやすく印字されている。
なお、キーのバックライトは内蔵されていません。
USB端子(Type-C)は前方右側に配置されています。
底面には大きな銘版が貼られています。四隅にはゴムによる滑り止めが貼られています。
↓ 当然チルトスタンドもあります。
手前側の滑り止めのラバーが片側二枚になっていました。平置き時とチルト時用に分かれていると思われます。手前側に少し角度がついている。スタンドを立てた際にはこの部分が机に接地するようになる。
単三電池二本を格納するスペース。HHKBハイブリッドのような電池室が飛び出したデザインにしなかったのは賢明。
側面から見ると「ステップスカルプチャー」タイプの形状が確認できます。これにより「正確な操作と指の移動の少ないタイピングが行える」そうです。
チルトスタンドを立てることでさらに斜めにすることが可能。僕はこの状態が好みです。
さらに別売りのデザインパネルキットで外観を変えて楽しむことも可能です。
(個人的にはデコらなくてもいいかな、と考えています)
Realforce Connectアプリ
Realforce R3 を使う上で忘れてはならないのが、Realforce Connectアプリの存在です。
バッテリー状態の確認、どのキーを多く使っているかのヒートマップ表示なども確認できる。
↓ APC設定画面では、各キーのオン位置の深さを 0.8 / 1.5 / 2.2 / 3.0mm から選んで調節が可能です。(APC 搭載モデルのみ有効)
↓実際にキーを押下して、キーストロークの深さの確認がリアルタイムに可能です。右下の横線が並んだ図がストローク表示。
↓キーマップの入れ替えもこのアプリで行い、キーボード本体に記憶させることができます。
僕の場合には、CtrlキーとCaps Lockキーとを入れ替えて使っています。この設定を接続するPCそれぞれで行う必要が無いのは非常に便利です。キーマップ入れ替えは”A”、”B”の二面のマップを持っています。あるパターンはA、あるパターンはBという形でキーボードに記憶し、電源ボタンの短押しで簡単に切り替えることが可能です。ファームの更新が配信された場合やオプションのパネルシート印刷にも、このアプリを使います。
Realforce R3 ハイブリッドの良い点や気になった点
4つの接続先を切替られるワイヤレス接続が便利!
ワイヤレス接続については、接続先が4つ設定できるため、複数のPCと切り替えて使うことができます。
例えば下のような接続設定で使うことも可能です。
1:デスクトップPC(個人のデスクトップPC)
2:社用ノートPC
3:MacBook Pro(個人のノートPC)
4:iPhone 11 Pro(個人のスマートフォン)
1~4のどの番号にどの端末を接続したのかを覚えておく必要があり、個人的にはいつも忘れてしまって困ります。(←ここは個人の能力問題)
とりあえず、使う頻度の高い順に若い番号を割り当てるようにしておきました。
Realforce R3 で「非常に良いな」と感じたのは、各種機能が Fnキー + 何かのキーで動作し、キーの手前に印字されたアイコンや文字を見て操作すれば確実に動作する点です。
HHKB HYBRID では背面に記載の操作方法を確認した上で多くの場合は三つのキー操作が必要でした。それに比較すると、Realforce R3ハイブリッドではペアリングや接続先の切り替えが 操作が簡単なので非常に助かります。
有線(USBケーブル)接続時の見た目が今一つ
ケーブルのキーボード側はL字コネクターになっています。しかも Type-C なのでケーブルを出す方向も変えられるので便利です。
ただし、当たり前ではありますが、コネクター部が飛び出してしまうので、見た目のスタイルとしてはもう一つかな、と思います。
この付属USBケーブル、L字アングル部分はスリムな形状とは言えず、非常に不自然な形状になっています。
エコモードの設定に悩む。
エコモードという設定があります。なお、電池駆動の際にはエコモードオフはありません。
このエコモードについては、4つの設定があります。
エコモード名称 | ロック状態のLED | |
エコモード1 | 10分間未操作で自動的にスリープ。 | 点灯しない |
エコモード2 | 10分間未操作で自動的にスリープ。 | 点灯する |
エコモード3 | 30分間未操作で自動的にスリープ。 | 点灯する |
エコモード4 | 30分間未操作で自動的に無線切断。いずれかのキーを押すと再接続 | 点灯する |
Num LockやCaps Lockのロック状態LEDを点灯させない強力な省電力状態が「エコモード1」です。かなりマニアックな設定です。
エコモード1~3では一定時間経過によってスリープに入ります。スリープからの復帰には電源ボタンによる電源オンが必要です。エコモードはRealforce Connectアプリでも設定が可能。
測定条件は明記されていないものの、Realforce R3 は、アルカリ乾電池の使用で約3ヶ月の稼働が可能です。3ヶ月持つのであれば、電池持ちについてはあまり神経質にならずエコモード3あたりで使うのでよいのではないでしょうか。
僕の場合は、移動させることがほぼ無いため、キーボードにUSBケーブルを常時接続し、USBチャージャーから給電し続ける運用にしました。詳しくは後述します。